2007年11月17日

アメリカの州立大学の図書館で日本語資料はどう扱われているかの一例。

 某日記へはまだ掲載待ちです。結構な順番待ちかも。

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(第21回)

 University of Massachusetts Amherstでは、East Asian Studies LibrarianであるSharon Domierさんにご案内いただき、様々なお話をうかがってきました。今回はEast Asian Studies Collection、Reference Reading Roomの様子や日本語資料の利用の実態について、ご報告します。

 University of Massachusetts Amherst, East Asian Studies Collection
 http://www.library.umass.edu/subject/easian/

●概要
・East Asian Studies CollectionとReference Roomが独立したものとして成立したのは、約40年前。East Asian Studies分野以外に独立したReference Roomを持つところはない。
・現在、W.E.B Du Bois Library内の21-22階に位置する。
・東アジア全体で約5万冊。うち日本語資料約2万冊。英語・西洋言語の東アジア関連資料は、一般のコレクションとして取り扱われている。
・請求記号・分類はLC分類を採用。日本語資料・中国語資料・韓国語資料を別々に配架することはなく、混配している。
・教員の研究分野が現在はほとんど文学分野であるため、蔵書も文学分野が中心になっている。

●資料の選択
・学生教材に適した資料として、絵・写真の多いビジュアルな資料、読みやすく振り仮名の多い大活字本、短くて楽しみながら読めるショートショート作品などを集めている。
・視聴覚資料として、日本映画のDVDを収集している。できるだけ英語字幕のあるものをそろえたいが、そのようなDVDはそれほど多くない。
・マンガも購入したいが、どれをそろえればよいかの選択が難しい。

●資料の購入・入手の問題点
・日本語資料の購入には、紀伊國屋書店などの代理店を通す。代理店を通すとドル立てで支払いができるが、直接日本の業者(古書店等)と取引しようとすると郵便振替などを求められることが多く、支払いができないため、入手もできない。特に美術館・博物館などの図録の入手が難しい。流通ルートにのっていないので、代理店経由では購入できず、直接購入しようとしても支払方法が限られていて購入できないことが多い。古書店にしろ美術館などにしろ、あらゆる場面でクレジットカードでの支払いが普及してくれるようになると、入手できる資料の幅が格段に広がって助かる。
・米国内の他大学の重複本や、日本の大学の重複本などを寄贈してもらうことが多い。

●ILL
・ILL依頼は、学生・教員が直接ILL部署に依頼する。Bibliographyの授業(後日あらためて紹介します)を受講していれば、学生でも日本語資料の書誌を正確に特定して依頼することができるようになる。
・ILL部署に届いた依頼のうち、ISBN・ISSNのないもの、資料の特定が難しいもの、特殊な機関への依頼を要するものなど、日本情報に関する専門知識が必要なものについて、相談を受ける。
・GIFはよく利用しているが、NDLへの依頼は割高でFAXや電子送信がされないので、ほかで見つからないときのみ利用している。

●目録
・東アジアコレクションのOPACへのデータ収録率は約80%。カード目録も現役で提供している。
・OCLCに参加。目録登録にあたってはOCLCの書誌を利用している。OCLCでは現在早稲田大学やTRCからの書誌データを利用できるため、かなり助かっている。
・ただ、できるだけ北米内ILLではまかなえないような資料を選んで購入していることもあって、OCLCに書誌がなくオリジナル作成をしなければならない例も少なくない。

●The Benjamin Smith Lyman Collection
・Benjamin Smith Lyman (1835-1920、Amherst近くの街・Northampton出身)のコレクション。明治時代に、北海道開拓のための技術顧問(地質学・鉱業学)として、来日(1872年)。鉱脈調査や公共事業関連の仕事を務める。几帳面な観察者で、大量の資料・詳細な記録を残している。
・全体で約4100冊の図書のうち、約1800冊が和装本。ほかに地図約120点、地質調査ノート、家計簿、名刺コレクション、書簡などが残る。
・和装本の書皮が数多く残されており、保存状態も非常に良い。(和装本の書皮は、日本の図書館では残されていないことが多い。)

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 拾遺ネタ。

 (大学・図書館全体)

・歴史的経緯から、北海道大学(クラーク)・同志社大学(新島)と関係が深い。
・学部生2万人、院生2000人、教員1000人。(2005/2006)
・学内図書館は主なものでW.E.B. Du Bois Library、the Integrated Sciences and Engineering Libraryの2つ。他に、Image Collection Library、the Music Reserve Labがある。
・図書320万冊、年間受入33000冊、受入継続雑誌タイトル40000タイトル、年間図書支出額97万ドル、年間雑誌支出額430万ドル。(2005/2006)
・総資料点数590万。
・スタッフ:ライブラリアン(professional)約55人、補助的スタッフ(paraprofessional)約80人、学生スタッフ約50人。
・2006年のthe Friends of the Libraryからの寄付金額:約113万ドル。(2005年:約62万ドル)
・建物が縦長。分類の違う本を探すたび、しきりに階移動をしなければならない。高層階に行くエレベーターと低層階のみのエレベーターと2種類必要。エレベーターが5基ある。ビルの中心部分をエレベーターが占めていて、かなりの面積を使っている。ビルの周辺部分に書架・スペースがあるため、見通しが悪い・自由が利かない、かつ、通路が狭いなどの難点がある。→高層ビルを図書館として使用する場合の難点として、注意が必要。

 (日本語蔵書)

・JF Romaと同じくらいの図書冊数。
・文学作品の朗読CD。映画のDVD。DVDは英語字幕ありを選んで買いたいが、少ない。(例えば、「男たちの大和」のような大き目の作品でも字幕なし。)NHK大河ドラマ(サムライの授業のため)、日本アニメクラシックコレクション(Digital Memeというアメリカの日本DVD販売会社による)
・日本映画のDVDには英語字幕のあるものが少ない。←<江上>英語字幕のあるDVDのリストがどこかにないか探す。
・マンガ:あさきゆめみし、ナウシカ。中国語のGTO・犬夜叉など。論文に必要と言われたので購入したのらくろ。マンガ日本の歴史。
・別冊太陽、別冊歴史読本などのムック類。
・雑誌のうち、ポピュラー・大衆誌はILLで手に入らないことが多い。(重要)
・マンガはきちんとは収集していない。何を買い揃えていいかがよく判らないのが、一番の悩み。←<江上>それがわかりやすいような、日本側からのサイト・ツールを探す。

 (目録)

・中国語図書については、オンライン目録はピンイン。カード目録はWade-Giles式。古い教科書にはWade-Giles式が採用されていることがあり、意外に重宝している。
・先生に、発注したい本・ILLしたい本を、まず自分で検索してもらうのに、まずはWorldCATで検索してもらったらたいてい大丈夫、ていうくらいにOCLCには日本語書誌が収録されている。

 (Lymanコレクション)

・元は彼の死後にForbes Library (Northampton)に寄贈されたもの。
・1979年に当時の当大学日本研究司書・副見恭子氏が日本からの寄付金20万ドルを集め、蔵書のうちの日本語・中国語資料(約300タイトル)のみを譲り受け、整理・目録作成・補修保管作業を行なった。(それ以外の資料はもとのForbes Libraryにある)
・北村季吟「源氏物語胡月抄」、「南総里見八犬伝」初版全巻、「北越雪譜」、伊藤伊兵衛「地錦抄」(園芸)、島津重豪「成形図説」(農業)、大蔵永常「農家益」(農業)など。
posted by egamihvu at 10:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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