2007年07月24日

ハーバードで日本の古典籍を目録登録する司書の会 附たり、司書の専門性については常に考えざるを得んのだなあ、について。

 ついに本業(?笑)が始まりましたよ。

 今回のここでの研修を、“自己的な調査・情報収集”と“業務の実地体験”とのふたつに大きく分けるとするならば、後者の第1が「和書古典籍の冊子目録出版サポート」であり、後者の第2が「和書古典籍の目録データベース登録」で、まあこれは、江上のプロフィールがそちら分野に寄っているから(註:寄ってるだけです、ただの不勉強なへっぽこ司書です、ガクガクブルブル)というんで、じゃあ江上にはこれをやってもらおう、というふうにこちらさんから宛がわれたわけであって、ちがうプロフィールの人が研修に来ればちがう業務になるのであろうことは予想がつくのですが、ていうかそもそも、そいつのプロフィールとその仕事とがフィーリング・カップル(註:ベスト・マッチングの意か)するというのがごくごく自然かつ当たり前のことであって、そんなこともできてないどこぞの(以下略)。

 というわけで、先週頃からですが、イェンチンさんお持ちの和書古典籍資料のうち、いまだ目録データベースに登録されていないものについて、書誌作成・目録登録する、というお仕事が本格的に始まったのでしたよ。

 さて、話は早速それますが、司書というお仕事は特に日本ではふわふわしたもので、常にその専門性について、内外問わず良し悪し問わず吉兆違わず議論されるものなのですが、江上は、ごくごく個人的にではありますが、「“専門性”とはこういうものだ」というのの条々を自分なりの考えとしていくつか持っていて、そのひとつに「“専門性”があれば、同じ職種のちがう職場に行っても、違わずその仕事をまっとうできる」というのがあるのですよ。皮膚科の専門医なら大学病院の診察室だろうが町医者の診察室だろうが等しく診察ができるように。そういった点だけで言うなら、レファレンスのスキルやカタロギングのスキルを持っていて、急に別の大学の図書館なり県立市立の図書館なりに赴任することになったとしても、よしんば遠く太平洋を渡った大陸の東端の地で古典籍資料のカタロギングを任されることになったとしても、何もゼロから教えてもらう必要なく、ある程度のローカル・ルールさえ教われば、司書としての仕事を開始することが可能、というのはその限りで言えば立派な専門性じゃないかと思うのですよ。

 というわけで、今回この和書古典籍資料の目録登録を行なうにあたってクリアしなきゃならないハードルのうち、
 ・AACR2を適用する
 ・古典籍資料を扱う(見る・読む・わかる)
 ・古典籍資料を図書館目録的に扱う
 といったところ、ちがう職場であろうと同じ職種であれば求められるものについては、勉強不足な部分は努力を要するという前提のもとではありますが、まあ一応人に頼らずなんとか半年やってけるでしょう、というところだとしましょう。
 問題となるのは、
 ・書誌はMARCフォーマット
 ・登録先はOCLC
 ・ローカルシステムはAleph
 ・ハーバード大学における書誌・所蔵のローカル・ルール
 ・ハーバード大学における書誌・所蔵のローカル・ルール
 つまり、NACSIS-CATにまつわる知識・スキルは、大学図書館業界内でならちがう職場でも通用したところが、MARC・OCLCといった環境下では一切通用しない。さらには、京大を一歩出れば一切通用しないといったローカル・ルール、これは専門性の範疇ではないから、こちらに来たらこちらに来たでまったくゼロから教えてもらわないとしょうがない。
 さらに言うと、
 ・和書古典籍資料の図書館目録を(NCRではなく)AACRに従って作成する
 ・和書古典籍資料の図書館目録を(NCの取り扱い要領ではなく)CEALが作成した取り扱い要領に従って作成する
 このへんがかなりのクセモノなのですよ、すなわち、単なるハーバードのローカル・ルールとかなら、はなっから知らない白紙の状態なので、ゼロから覚えていけば済むという単純な話なのが、上記2つについては、すでに我が身にとっぷりと染み込んでしまった”常識”(=和書古典籍をNCR・NC取扱要領で扱う)を、脳内で必死に否定しながら、”新常識”を塗りこんでいかなきゃなんない。これはもう格闘ですよ、脳内格闘。で、しかも、その”常識”と”新常識”がまったくちがうっていうんなら、まだ始終警戒・身構えてるが故に油断せず格闘できるのですが、これが事実上ほとんど同じでありながら、たまぁにポテッとしたところがちがったりしてるので、次から次へと情けないほどに負け戦が続く、ていう。

 むぅ、これはあれですな、自分がこれまで如何に、京大の/NCの/日本のローカル・ルールに頼って仕事してきてたか、ということを思い知らされますなあ。ということでいえば、日本での目録スキルは専門性75%、NCでの目録スキルは専門性50%といったところなのかしら。(京大の、はこれはもうはなっから専門性0で、”専任性”の世界)

 とはいいつつも、1週間ほどの添削指導でだんだんコツをつかんできて、なるほど「目録のルールが変わってもスムーズに対応できる」というスキルは司書の専門性に入れていいんじゃなかろうか、というようなさもったらしいことをうそぶきながら、さてじゃあ本腰入れて件数を上げにかかるか、といったところなのですよ。

 何がどう違うかの詳細は、追ってまたご報告します。

 ・・・にしても、知らなかった書誌学用語、人名、くずし字、山のように出てくるなあ。古典籍はほんとに1点1点とのとっくみあいなのですよ。
posted by egamihvu at 07:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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