2007年07月23日

日米”勉強会”事情

 7/20、全学の図書館員向けのオープンな勉強会のひとつとして、「ALA Report」という簡単な報告が行なわれたので、話を聞きに行ってきましたよ。これは、”Cataloging Discussion Group”というところが催したもので、ALAで行なわれたミーティングの模様・内容を、実際に参加した人たちがそれぞれ報告して、情報共有をはかろうとしているもの。

 で、まあその内容自身は「こういう話でした」ていうのと、いくばくかの質問・ディスカッションだったわけですが、それは置いといて、今回はこの手の勉強会、大なり小なりをHarvard学内なり、AAS・CEALなり、ALA2007なりで拝見してきたわけなのですが、それらが行なわれる様子が日本の同種のそれとどんなふうにちがってるか、というのを観察してみました、ていう話。


・大方が、口頭のみ。
 発表・プレゼンが口頭のみで行なわれるというパターンが多いのに、まずびっくりさせられるのですよ。
 日本だと昨今ではちょっとしたことでもPowerpointが登場するのが、もはや8割9割は超えてるといった感じのところが、こちらではPowerpointといったら、そうさねえ、学内のそれで3回に1回くらい、ALAですら半分・・・かな。(ASAはわりと多かったかな、CEALはほとんどあったけど) びっくりしちゃって。この人ら、パワポ使わへんねや、て。
 それから配布資料のなさというのも半端でない。学内・ALAともに2回に1回くらい。その2回に1回あるやつも、A4用紙1枚に、題名と発表者紹介と、抄録の10数行もあればまだましなほう。日本のように話の内容全体のアウトラインが書かれていたり、講義ノートのかわりになるような、例えばその場に行けなかった人があとでその資料だけ読んでも勉強になる、ていうようなのは、まあまずもってない。そんながっつりしたものはいっさいお作りにならない。もちろん、パワポがないからその印刷したのなんてないし。
 それで最初のうち「なんやねんこいつら」と憤慨してたのですが、よくよく見てると、まず発表者の準備に負担がかからない。そのかわりにその場でようしゃべらはる。だから、情報共有はたっぷりかなっているという状態ではある。
 で、しかも発表者に負担がかからないというのは↓こういうメリットもあると言えそうで。

・回数が多い。
 ほぼ毎週、は言い過ぎとしても、10日に1回くらいは、何かしらの勉強会・報告会・セッションが行なわれている。それだけ頻繁かつ潤沢に、情報交換・情報共有が実現されているというか、それを行なうことに価値・重みを置いているという感じがしますよ。誰かが得た情報は、知りえた知識は、蓄積した知見は、それぞれオープンにして、お互いにシェアして、みんなでWIN-WINになりましょうよ、と。1時間ほど集まって話をしあうことでそれがかなうのであれば、こんな簡単で意義深いことないじゃないですか、と。
 ”share”というのはこの地の重要かつ有意義なキーワードであるような気がするよ。

・だいたい1時間。
 予定時間は1時間半として設定されている。その時点で日本よりちょっと短めに感じるのだけど、だいたいが1時間くらいで早めに終わる。長くて90分という感じ。
 だから、ひとつひとつはそんながっつりしなくていいから、こまめに回数を多くやる、ということで、こまめな情報共有につながる、という感じになるんじゃなかろうか。

・質疑応答・ディスカッションの時間が長い。
 早めに終わる、っていっても、しらーっとして質問も出なくて、という意味ではなくて、例外なく質疑応答とディスカッションがおもっきし盛り上がるのですよ。発表者の発表が30分くらいで、それと同じか時には長いくらいの時間のディスカッションで、お互いががーっとしゃべりあって、あちこちから手が上がり、意見が交わされる。
 だからそういった意味では、↓。

・発表者が主役でない会も珍しくない。
 日本でこういう会だと、発表者が”講師”であり”先生”という立場になって、聴く側は”聴く人”という立場になって、ていうふうになんとなくくっきりと立場がわかれてしまう感じになっちゃって、発表者サイドがたっぷりと事前準備をしてくる、パワポも配布資料も準備する、そしてその人の話がメインで、質疑応答は全体の1/4とかで、1/3でも多いな、ていう感じ。そもそも「質疑応答」という、聴衆の疑問に先生が答える、というスタイルだし。
 もちろんアメリカでも大半がそういうスタイルではあるんだけど、そうでないスタイルの会も珍しくなくて、発表者はほんとに口火を切るだけの役で、あとは延々互いに議論していることも多い。まあ江上の英語力では、いま議論がなされているのか情報交換がなされているのかのちがいもよくわかんないんだけど。でもそういうのを見ていると、なるほど、”誰か(上から)が誰か(下へ)に教える”という「↓」こういう感じのではなくて、”お互いが教えあう”という「⇔」こういう感じであり、それがまさにこの人たちの思う”WIN-WINのための情報共有”なんだろうな、と気付かされるのですよ。
 しかもこれだと、発表者の事前の負担が少なくて済むから、気軽に開催できて、結果的に回数も多くなる、ていう利点も。

・ランチタイムに行なわれる。
 時間の設定が、12時〜13時30分、というパターンが多いのですよ。で、ご自分のランチ(”BrownBag”と称される)を持ってきて食べながら参加してください、という。で、みんなめいめい、パクつきながら人の話を聞いている感じ。
 これには大きな日米の差が3つあって、まず1つに食い物がちがう(笑)。この食い物の差は決定的ですよ。
 こちらのランチはといえば、サンドイッチだの、ハンバーガーだの、ラップ(小麦粉を薄く延ばして焼いたのの中にサラダや肉的なのを包んで食べる)だの、リンゴだの、バナナだのですよ。単体で済むから場所をとる必要がなく、おおむね表面が乾いていて、紙や袋に包んで持ち運べるものであり、食器不要であり、冷めててよいものであり、手づかみであり、手がそんなに汚れるものではないし、しかも利き手じゃないほうで持てるので利き手でメモをとれる、というもの。日本の昼食は、おかずとごはんという組み合わせで品目が多く、汁気を含むものが多く、箸と弁当箱という食器が必要であり、箸を始終利き手に握っているから食べながら何かをするということが不可能であり、弁当箱だといろいろと広げることになるから場所もとるし、しかも汁気を含んで品目が多いから箱の蓋を開けると匂いが部屋に充満するし、それを冷めてるのがイヤだからってんでレンジでチンしようものなら、ていう。
 この食い物の差によって、同じ勉強会でも雰囲気は全然ちがってきてしまうことは、なんとなく予想がつくというものですよ。
 2つ目には、衛生感覚のちがい。そんな勉強してる場で食べ物とか広げたら、部屋なり机なり資料なりが汚れる、或いは、そんな空気・環境の悪いところでごはんなんか食べたくない、という感じ。
 3つ目には、仮に12時〜13時まで行なわれるとして、じゃあそれに間に合うには11時45分頃には職場を離れなきゃいけないし、終わって帰ってくるのは13時15分頃になるしで、そういったちょっと早めに・遅めに失礼しますっつぅような振る舞いが日本の職場で気軽にできるかっつって、まあまずでけへんわなあ。それをOKとする風土がないから、昼にやろうとしたらどうしても12時15分から45分、というような時間設定になってしまい、そんな30分でできることなんて大したもんではないから、まあ、行なわれることは少ない、ていう。

 というわけで、どうでしょう。日本でももっと、こまめに回数を多くして、発表者に負担のかからない、互いの情報共有を頻繁に行なうことでWIN-WINになるように、弁当を広げられる広めの場所と、昼休み前後に離籍しても目くじら立てられない風土とが、得られませんかね。

 最後に追加。
・Catalogingに関するテーマがやたらと多い。
 学内のこの手の勉強会は、Catalogingテーマのそれが全体の半数を軽く超えてしまっている、という。いいなあ、こんなにたくさんあって。
 これはひとつには、レファレンスライブラリアンはそのサブジェクトごとに集まって情報共有するしかないから全学レベルで行なわれることはないけど、カタロギングはどんなサブジェクトであれ必要とされる知識・スキル・テクノロジーは同じだから、全学レベルでのテーマにふさわしい、ということがあるのかもしれないよ。
posted by egamihvu at 03:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こまめに気軽に情報交換でWIN-WIN、ほんまそう思うわ。
日米で食べ物も違うけど(ちなみに資料とか広げて食べながら仕事の話すんのはヨーロッパ人は嫌いなんやって。)・・・
たとえば日本やったら準備万端!でないとあかんからしゃべる人がやたら苦労してたり回数もめったになくて大がかりになりがちでしがらみ多くて。
それに聞く人もせっかく集まったのに「へぇ」ってほんま来て帰るだけやったりして何しに来とんて感じすんねん。
そんで最後には「周りの人の手前、来にくいくい」とかゆうて職場に配慮見せんねん。

気軽にやったらええねん。
Posted by HL at 2007年07月24日 22:46
某日記でもとりあげました。

2-3度モデルケースでやってみて、こうすれば気軽にできる、ていう空気感的なのをいっぺん作ってみたら、やりやすくなりそうな気がする。
Posted by egami at 2007年07月29日 20:56
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