2007年07月20日

IEL、それは英語のクラス

 遅ればせながらの報告ですが、江上、ただいまハーバードの英語のクラスに通っています。

 ハーバード大学内にHarvard Extension Schoolという組織があって、Institute for English Language Program(IELと呼ぶ)というのを行なっておられて、それは英語が母国語でない人向けの英語クラスなんだけど、ハーバードに来た留学生相手でもあり、スタッフ・招聘研究者などの社会人向けでもあり、というのを、ふだんは大学の正規学期である前期・後期に行なっておられるのですけど、夏休み中であるこの時期にサマースクールと銘打っても行なっておられる、という代物なのです。
 で、言わずと知れた英語ダメダメの江上も、これを機会にそちらで勉強させてもらおうじゃないかと思ったのですよ。

 その要件。
・6月末から8月半ばまでの8週間。
・週2回(月・水)、午後6時から2時間半。
・レベル別指導。
・1クラスは10人前後。
・授業はアメリカの大学講義と同じ方法。つまり、読み書き聞き話し、だけでなく、ディスカッション、プレゼンテーション、クリティカルシンキング、そして宿題たっぷり。
・750ドル。(註:仕事に関係ないあれなのでもちろん自腹です)

 ただ正直、純粋に「英語を上達させたい」という実益的なのよりは、「アメリカの大学で講義を受けるというのがどういうものかを経験したい」という見聞的な興味のほうが強かった、と白状します。それとか「江上の受けたことのない英語勉強法を受けてみて、それが自分に合ってるかどうかを知りたい」というような自分探し(ちがうな(笑))的なの。単なる英語の勉強なら、別にわざわざ受けなくたってできる(高飛車発言が出ました)し、そうでなくて、長期滞在しているときにしかできない経験をしておくべきだろう、というようなノリで。

 これの受講を決めたのが6月頭で、で、6/11にクラスわけのためのレベル判定テスト(placement)があるというので、受けたのですよ。
 このテストはマークシート方式で、ヒアリング、ボキャブラリー、文法、リーディングの4種。100点満点の合計点数で、ABCDEの5段階のレベルに振り分ける、という按配。(註:Aが下で、Eが上です)
 で、幸か不幸か受験慣れした江上、ペーパーテスト慣れした江上、いやさ、いっそのことクイズ慣れした江上(笑)が、こんなマークシート方式のペーパーテストなんか受けてごらんなさい、いかな苦手の英語とはいえ、持ち前の”選択肢選別能力”で2倍の、クイズ研仕込みの”出題者心理読解能力”でさらに2倍の、でもって現在ほとんどこれだけで在米生活を乗り切ってると言われる”国語力(という名のカン)”で4〜5倍(いずれも当社比)の点数を叩き出してしまうこと限りなし、ということを、過去にうっかり受けてしまったTOEIC試験でイヤというほど思い知らされている(註:かつてほんとにヒくほどの驚異的高得点を出した)ので、こんなところで本気本腰で受験しちゃっちゃった日には、そもそもAなりBなりの英語力しかないところを、DなりEなりにあてがわれてしまって、ついていけないレベルの授業で撃沈してしまう、ということは容易に想像がつくわけですよ。
 ・・・というわけで、自分の英語力を適性に審査していただくべく、「わからない英語もとりあえず国語力を駆使して理解する」といういつもの技を一切合財封印し、ただひたすらに「純粋に英語の問題としてわかるものにしか解答しない」という戦法に出ましたよ。そしたらまあ、なにひとつわからない(笑)。ヒアリングなんか、1問目の一言目くらいしかわかんなかったし(註:但し、選択肢を見ればだいたい何が言いたかったかは予想がつく)、文法正誤問題も何がどうまちがってるかわからないし(註:但し、候補箇所の選ばれ方で答えはなんとなく知れる)、ボキャブラリーに至っては30問中3つか4つしか知ってる単語なかったし(註:例文があって、そのうちのとある単語に下線が引かれてて、それの代替になりうる単語は次のうちどれか、という問題。但しこれはあとで考えると、下線が引かれてる単語を知ってるかどうかを試すテストというよりは、むしろ選択肢のほうの単語を知ってるかどうかを試すテストだったんだなあ)、満足に出来たと自分でも思えるのはかろうじてリーディングだけでしたよ、やっぱ”国語力”じゃん(笑)。
 結果、100点満点で40点。下から2番目のBレベル。やっぱり天下のハーバードさんは求められる英語力も伊達ではないんだなということを思い知ったのでしたよ。

 ところで「アメリカの大学は厳しい」ということをなんとなく聞いていて、その噂に違わぬテンションで”欠席は決して認められない”だの”相当の量の宿題を提出することが求められる”だの”病欠するなら医者の診断書を提出せよ”だのと説明書きに書かれているのを読んで、クラスが始まる第1週目の6月最終週にはワシントンDCで遊びほうけてる予定(註:仕事です)で欠席せざるを得ない江上は、始終戦々恐々としてしまってて、事前に担当の先生に断りの連絡を入れようと思うのだけど、「担当の先生は誰ですか」「連絡先を教えて」と、IEL担当オフィスに2度3度と問い合わせたところで、いっこうに返事が来ない。来たかと思えば”まだ決まってない””もうすぐ判る”、しまいには”それじゃ、来週から始まるサマースクールを楽しんでね!”などと言ってよこしやがって、アメリカさんの事務処理能力のうっとうしさにはまったくもって辟易させられるのだけど、そんな文句すら言ってられない、何せ講義開始前のオリエンテーションだってワシントン滞在中で出席できない、レジュメも手に入ってないからテキストが何かも知らない、どこで手に入るかも知らない、自分が出席していない間に何がどう進行しているかも一切わからない、わかるのはただ時間と教室だけ、というていたらくで、そんなまっさらの、武装解除状態の、もうどうとでもなぶってくださいといった感じで、2週目・第3回にあたる7月頭の講義に出席した、と思いねえ。

 ・・・・・・べつにどうということはなかった。
 江上以外にも今日が始めてという人が2-3人いた。
 指定テキストなんか、誰もまだほとんど買ってなかった。COOPにいま注文してもらってるところとかだった。ちなみにそのCOOPに指定テキストが届いたのはその10日後だった。
 宿題も、みんな出したり出さなかったりだった。江上はこまめに出す姿勢でやった、writingで、添削してもらえるし。

 先生は女性で、”ニイガタケンチョーで3年くらい勤めていたことがある”とうれしそうに話してくれた。講義中、たまに冗談で日本語が出る。
 クラスメイトは10人前後で、毎回2-3人が欠席してて、そのうちに2人くらいが来なくなった。
 スパニッシュ・ラテン系の人が6-7人、ヨーロッパ系が2-3人、台湾の女子と、韓国の男子・女子と、日本の男子と江上という感じ。たぶん、江上みたいに社会人枠で受講している人と、学生枠として受講している人との、合同クラスであろうと思われる。
 韓国の男子や女子とちょくちょく同じグループ(後述)になって、わりと話も気も合う。ていうか相手がEastAsianだと不思議と気安くしゃべれる心地がするし、等しく早口・等しく未熟英語であっても、なんとなく言いたいことがわかる、というところも不思議。特に、江上とその韓国男子・女子だけでグループになったときは、さすがに日韓とも高度受験戦争化社会だけあって、仕事がてきぱきしてますな(笑)、あっというまに課題が片付いて、あと延々ふつーにトークで楽しんでたりした。その韓国の男子や、後日外で出会った韓国女子の彼氏やは、ごく簡単な日本語は知っていたし、日本に何回か行ったことあるともゆってるし、話を聞いてて、なんかもうやっぱり、昨今のコリアンのパワフルさには純粋に頭が下がるな、と思った。英語のクラスを受講しに行って、韓国語習得したいなあ、との思いを強めるとは思わなかったよ(笑)。

 授業は、読みもあり、書きもあり、聞きもあり、発音もあり、文法もあり、プレゼンテーションもあり、ディスカッションもあり、といった感じ。先生が一応2時間半の流れを作ってはいるんだけど、その場に応じて、じゃあ次はこれをやってみようか、これをもうちょっと続けてみようか、というふうにフレキシブルに進む。
 例えば、まずは文法。前回提出されたwritingの生徒宿題の中から、文法的間違いを含む文が資料で配られて、じゃあどこが違ってどう正したらいいか、隣同士ペアで組んで考えてみましょう、となる。文法がどうとかより、まずこのペアで英語で話し合うところが何より語学力アップだなあ、というところに感じ入るよ。文法問題としては中学生レベル。(自己分析→)[江上の文法力:++]
 発音。これもペアでテキスト課題を試し合う。時折個人指導が入る。ありがたいのが、日本にいたことのある先生なので、日本人の苦手なポイントをよくご存知だというところ。[江上の発音力:−−]
 ウェブ動画をみんなで聞いて、書き取り。先立って文法問題で四苦八苦していた人たちが”なんでもない、すごく簡単”と口々におっしゃるヒアリングを、江上は1割たりとも聞き取れていない、という状態。[江上のヒアリング力:−−−] これは困った、ほんとに困ったぞこれは。
 市販の一般雑誌をみんなで買って、その中の記事について、先生の提示したお題でグループ・ディスカッション。グループは3人程度なので、臆せず発言できる、というところがまた良い。まず、”難しい、読むのに時間がかかる”とおっしゃる記事を、江上はなんとはなしに読んで来てたので、[江上の読解力:++]。ところがそのディスカッションたるや、とんでもない早口で、遠慮なく次々に発言しはるので、まず聞き取れない。[江上のヒアリング力:−−−] それに応答しようとしても、なかなか言葉が出てこない。[江上のトーキング力:−−−] 出てきたとしても咄嗟なので文法もボキャブラリーもガタガタ。[江上の(口頭による)文法力:−−−] そうこうしてる間に相手がさらに発言するので、こちらが発言するスキマがない。[江上のディスカッション力:−−−] どうですか、これ!?(どうですかじゃねえよ(笑))
 市販の一般雑誌のとある記事について、めいめいで調べてきたことをプレゼンテーション。江上はやはり聞き取れない。[江上のヒアリング力:−−−] ただまあ、作文してきたのを見ながら自分で発表する分には、さして不自由はない。[江上のプレゼン力:+]
 というわけで、こうやって見ると、江上の英語力がいかに偏っているかがわかるよ。しかも「−」なのはどれも自学自習ではカバーできないようなものばかりだし。

 ところで、その雑誌記事にしろ、課題として読むことを求められている小説にしろ、全体を通して扱われているテーマが「アフリカが抱える社会問題」というものなのですけど、これがねえ、自分が興味のないテーマについて考える、発言する、というのが英語以前にまずどんだけしんどいかということですよ。そんなテーマについて、ディスカッションせよとか、作文して書いて来いと言われても、何も思い浮かばないから、英語にもしようがない、ていう。しょうがないから、無理やり幕末志士のエピソードに結び付けて語ってみたりした、ていう(笑)。そこで苦労してたら英語上達のしようがないと思うんだけど、どうなんだろう、それも苦行のうちなんだろうか。
 逆に、「英語教育について論ぜよ」みたいなテーマをたまさか出されたりすると、すらすら筆も進んで助かるというものですよ。
 教訓:語学の勉強は、テーマが肝心。といった意味では、図書館関係のことで英語勉強したほうがよっぽどいい。

 という感じで、気がついてみればもう4週/全8週が経ってしまっていて、半分終わっちゃったのですよ。うわー、これ、いっこも上達した気配がないのですけど、どうなんだ。ただまあ、なんとなく脳内英作文がこれまでよりはちょっと早くなったかな、ていうことはあるので、これが毎週、1年続くとだいぶちがうんだろうな、ということは言えると思ったよ。少なくとも、江上が京大学部生のころに受けた、1年かけて神話学入門の本を読んで翻訳する、といった授業や、1年かけて18世紀イギリスの戯曲を翻訳してその表現を学ぶ、といった授業よりは、しゃべれるようになるだろうな、ていう。(註:神話学も古典戯曲も、文化的トピックとしてそれはそれでおもろかった。)

 それと、その授業があった日の晩に限ってではあるんですけど、少しだけ、英語で夢を見るようにはなって、ちょっとうれしかったよ。ほんとにほんとにちょっとだけなんだけど。

 でも、やっぱり高いのは高い。750ドル。1時間20ドルという計算。いい経験になるとは言え、やっぱり高いよ。
 但し、江上には適用されなかったのだけど、ハーバードの正規の職員だと特別料金で、40ドル。ここです、ここ。日本の大学はココを見習いなさい。(見習われたところで、神話学入門ではちょっとあれなんだけど)

 そんな感じです。また報告します。
posted by egamihvu at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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