2007年07月01日

6/21:プリンストン大学東アジア図書館

 6/21。
 プリンストン大学の東アジア図書館を訪問してきました。
 桃源郷かと思った、OxfordよりもOxfordだったキャンパスの様子は別途ご紹介するとして、図書館でうかがったお話のうちの印象に残ったいくつか。

(日本語セクション)
・日本語資料、図書・17万冊、カレント雑誌・1100タイトル。全館で図書・63万冊。
・利用は大学院生が圧倒的に多い。そのあらわれのひとつかしら、館内のキャレルは予約制、というより院生さんの名札つきの占有席で、ILL文献もこの席に届ける感じ。
・例えば、日本建築を扱った図書でも、ビジュアルなものとか英語の本とかは建築図書館に所蔵される。けど、よその部局図書館はたいていがレファレンスライブラリーで貸出をせず、ここは貸出をするので、読むのに適した本ということになると、当館でも重複して所蔵するようにしている。
・日本語資料の遡及入力は終了している。これは、先生の協力を得て、かなり長いこと何度もせっついた結果、学部の資金援助を得たことによる。で、やっとその資金援助が決まったとき、日本以外のセクションは準備ができていなかったのですぐに手を挙げなかった。日本セクションは、もし資金援助が決まったらこういう手順で遡及入力を行なう、という計画を事前に綿密に立てていたので、すぐに手を挙げて優先的に行なうことができた。結果、日本のは終了しているが、日本以外のはまだ終わっておらずカードカタログを現役で使用中。

(全学)
・システムはVoyger。(LCと同じ)
・GoogleLibraryについて。プリンストンではまだ実務始まっていない。ミシガンでは重複所蔵を気にせず、端からすべてスキャンしている。当初Googleは、重複をいちいち気にして選別する手間をかけるよりは、全点スキャンしたほうがまし、という考え方だった。が、実際にミシガンその他でそれをやってみて、やはり重複問題はかなり大きいということが、Googleでも(やっと)判ったらしい。ということで、プリンストンでそれが始まるときには全学で100万冊程度をセレクトすることになる、とのこと。
・アメックスとリキャップという2つのデポジットライブラリーを持つ。デポジットライブラリーで肝要なのは、何を置くかよりも、どうスムーズ/スピーディに運べるかである
「Borrow Direct」。プリンストン、イェール、コロンビア、コーネルなどによる共同利用体制。各利用者にIDが発行されていて、自分で専用データベースにログインして、各館蔵書を横断検索すると、各館のヒット件数が表示される。そこでILLオーダーすると、登録している図書館に資料が届く。このとき、複数の所蔵大学のうちのどの大学を選ぶのかは、システムが各大学の負荷が均等になるように計算して、自動的に決定する。

(その他)
・アメリカでは、いわゆるスプートニクショックを機に、各大学で地域研究に力を入れるようになった(経緯要調査)。アメリカ国内の東アジア図書館というのは、ほとんどがこの頃、1960年代にできている。(1)そういう理由で組織されたので、いまでも、だいたいの米国内の東アジア図書館は、他の部局図書館よりも地位の高いところにあったり、力が強かったりすることが多い。(2)できたときの目的と傾向もだいた同じだったためか、持っている資料も似通ってしまっている。結果、ある資料はあるんだけど、ない資料は米国内どこを探しても徹底的になくて、日本へのILLに頼るしかない。

(メッセージ)
・ライブラリアンに重要なのは、ディシジョン・メイキングである。何をどうすべきかを、考えて、決断すること。先延ばしになんてとてもできないし、してはいけない、それは無責任というものだ
・日本の図書館へのお願い。科研費報告書を、責任持って、収集・所蔵・目録登録するようにしてほしい。役に立つし、依頼もそこそこあって、欲しいのに、なかなか所蔵館が見つからない。その大学なのに、その図書館で持ってないのはおかしい。結局、その先生に直接問い合わせて入手するパターンが多い。(江上註:科研費報告書が役立つか役立たないかの意見は人によって違うかもしれないけど、江上は上記の言はまったくその通りだと思う。)
・日本の雑誌資料電子化について。中国・韓国に比べて、日本の資料電子化はかなり遅れている。なぜよく使われる基本的な雑誌から電子化しないのか。必要な雑誌に限って電子化されていない。選別した上で計画的にやってほしい。
・データベースの使い勝手がよくなった分、現物資料へ到達できない、入手できないことへの不便さが目立つ。
・NDLのサービスがここ数年で飛躍的によくなって、とても感謝している。
posted by egamihvu at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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