2007年06月25日

いわゆる「能力のある方が、公的な形で表にあらわれてこないのは、大学図書館界の損失」問題について考えてみたよ。

 ALA2007参加真っ最中で、しかも滞架がまだまだあるところですが、前々からなんとなく気になってた「能力のある方が、公的な形で表にあらわれてこないのは、大学図書館界の損失」問題について、ちょっと考えてみたよ。

・「図書館目録の将来:ユーザの視点から、図書館の視点から」(NII)
 http://www.nii.ac.jp/openhouse/h19/Program/index.shtml#Work
・「能力のある方が、公的な形で表にあらわれてこないのは、大学図書館界の損失」発言の反響を受けて(ARGブログ版)
 http://d.hatena.ne.jp/arg/20070625/1182701307

 考えてみたっていうか、「右から左への歌」並みに頭から離れなくなった(笑)ので、とりあえず出してしまって次に進みたい、ていうのがある。
 あと、江上はNIIの例のやつに(かなり行きたかったんだけど、とあるのっぴきならない事情で)行けてないし、お話もちゃんと聞いてないし、どういう文脈の話かもちゃんと理解してないので、あたってないところもあるかもしれないんだけども、ちょっと考えてみたよ。

 で、いろんなところでいろんな方がおっしゃってることはそれぞれもっともだと思うし、賛成もできるんだけど、それとともに一方でずっと違和感も抱いてて、なんだろうなこの違和感はと思ってたのですが、たぶん自分の違和感はこういうところからくるんだろうなというのが、2点みつかったよ。
 なので、ここではその違和感のほうを書いてる、とお考えいただければ目安となるでしょう。

 2点、ていうのは、この問題を「能力のある方が、公的な形で表にあらわれてこないのは、大学図書館界の損失」ということと、「(その成果が)個人レベルにとどまっていて、公的なサービスに展開しない状況はどうなのか」(http://d.hatena.ne.jp/sinngetu/20070608/)ということを2つに分けて考えてみたことの結果、なのかもしれない。


 1点目。
 公的な立場、公的な形でないからこそ、ていうか仕事じゃないからこそ、その才能が発揮できることってあるじゃん、ていう。そういうタイプの人がいる、と言ってもいいし、そういうタイプの成果がある、と言ってもいいけど。

 勤務時間中にうっとうしい環境下にいるからこそ、そこから開放された深夜や土日に密度の濃い集中したもの造りができる、ということだってある。
 長時間の単純労働中(書架整理とか)だからこそ、仕事とは無関係の思索に雑念なく長時間ふけることができる、ということだってある。
 単純な事務作業しかやってないからこそ、ぱっと思いついたひらめきを忘れず逃がさずにキープしておける、ということだってある。
 不如意な職場・組織にいるからこそ、解決すべき問題の所在がわかるし、それを解決したいというフラストレーションが溜まるからこそ、反動でエネルギーを注ぐことができる、ということだってある。反作用がなければ作用は起こらないように。
 予算も支援も職務権限もないからこそ、ゼロから自分の好きなように構築していけるのが楽しくてたまらない、ていうことだってある。

 〆切も責任も評価の目もないからこそ、造れること、造りたいって思うこと、ってあると思うんですよね。
 それが、たとえ職務としてでなくても、勤務時間中でなくても、いや勤務時間中でないからこそ、深夜・土日のフリータイムに一気に爆発するっていう。

 そういう”充実したオフ”から生み出されるものが、日常業務という場で、オフィスで、平日の9時-5時で、上司や同僚の目のあるところで、等しく生み出されるか?といえば、もちろん生み出す人もいるだろうけど、生み出さない人だってそりゃいるでしょう。特にWebまわりの技術は、いまから考えるぞ、発想するぞ、ブレイクスルーするぞ、と身構えてうんうんうなって生み出すものというよりは、ハッと思いついたアイデアがパッと花開く、ていう感じのものだと思うし、そういうハッとしてグーみたいなのが楽しいんだし、それが楽しいからこそ意欲が湧くんじゃないかしら。ハッと思いついたアイデアを、書類にして、会議にかけて、交渉・妥協の末に、つましい予算とへっぽこな素材を与えられて、〆切までの完成に悩まされて、それにくらべてこの給料かと、じっと手を見る、なんて楽しいわけがないもの。
 江上だって、**が**になったら一気に**が**たもの。(←あまりの問題発言に、自己規制が入りました)

 人間なんて、所詮はわがままで気まぐれな怠け者ですよ。充分な環境や時間を与えられたら、もう何も生み出さなくなっちゃうよ。<仕事>っていうタグを貼られたら、もうやる気失って、深夜・土日にはたぶんちがうことやり始めちゃうよ、陶芸とか(笑)。

 詳しくは知らないのですが、「プチクリ」ていう言葉はこういうふうなことを言ってますか、ちがうかな?


 2点目。
 どんな立場の人が、どんな形であらわすかはまた別問題であって、ネックなのは、その成果を、図書館なり組織なりが、フレキシブルに、スピーディに、トライアルアンドエラーでもって、積極的に採用・活用できるか。そういう姿勢をもてるかどうか、度量があるかどうか。じゃなかろうか。

 個人の人が、プライベートで生み出して、匿名なりでWeb上にアップした、何らかの成果(A)があったとしましょう。
 或いは、図書館なり大学なりの研究開発部門で、そういう職務を与えられた人材の人が、公的な形で造りあげた、何らかの成果(B)があったとしましょう。

 ・・・・・・どっちでもいいよ、どっちでもいいけど、それを図書館組織にいるお役人の人たちが、はい、じゃあ、つって採用しようとするか?と。積極的に動くか? 四の五のぬかさずにとっとととりかかるか? 失敗か成功かに関わらずできるとこまで試してみようとかするか?
 するんだったら、じゃあ、AでもBでも関係ない、採用したらいい。ていうことでしょう。
 でも、してないし、しようともしてないし、そういう雰囲気なり土壌なりがまずないわけでしょう。

 ないでしょ。ないよね。だって、YoutubeもMySpaceもSecondLifeまでも、アメリカさんは貪欲に採用してる(と昨日今日のALA2007でさんざん学んだ)っていうのに、日本じゃblogすらまだ珍しい存在って状態なんだから。(註:日本の図書館でYoutubeをサービス・広報に活用している事例があったら、ご教示ください。m(_ _)m)

 それがないんだったら、それ専門の研究開発部門を設けてみたり、専門の身分を与えて専門の職務に就かせてみたところで、結局同じじゃないか、ていう。
 だって、そういう部門のそういう身分の人が「こういうおもろいのをつくってみたい」と企画提案したところで、どうせ「ダメ」って言うんでしょう、合意を得られないとか、得るのがめんどくさいとか、得体の知れないものに巻き込まれたくないとか、下手なことして仕事を増やされたくないとか、金とか時間とか人員とかなんとかで。blogすら採用しないのと同じ理由で。「そんなことより、発注書のレイアウトを作り変えろ」とかいう仕事になっちゃうんじゃないの。

 逆に、「こういうおもろいのをつくってみたい」と言われて、「ほう、じゃあダメもとでもいいからとりあえずちょっとやってみれば」と返す組織なんだとしたら、匿名の個人がWebにあげてるプライベートな成果だって、そりゃまあとっくに採用してるわなあ。

 それ専門&公的な部門や職務や身分があるかどうかじゃなくて、或いはどっか別の組織にもぐりこんだところで、そういうものを受け入れる度量なり姿勢なり土壌なりがあるか総体にあるかどうかでしょう。あれば、いまだって受け入れられてるはずだし、なけりゃ、部門・身分をつくったところで、下働きさせられるか、厄介者として遠巻きに扱われるのが関の山なんじゃなかろうか。(その遠巻きに見られてるのが、いまの”研究開発室”なんだとしたら、なるほど教員ばかりで事務側が加担しようとしないのもうなずけるというものだよ。)


 3点目。(あれ、2点じゃなかった?(笑))
 Fさんなりどこなりから買った図書館システムが、ぽっと出で開発されたものを取り込めるような感じになってくれてない。
 というのは、next-lさんとかでのお話になるだろうし、あたしごときでは大したことも言えないので、これで終わる。(終わるんかい(笑))
posted by egamihvu at 09:48| Comment(2) | TrackBack(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>註:日本の図書館でYoutubeをサービス・広報に活用している事例があったら、ご教示ください。m(_ _)m)

図書館では覚えがないですが,明治学院大がトップページにYouTube並べててすごい。
http://www.meijigakuin.ac.jp/

図書館でもこれくらいやりたいですね。
Posted by myrmecoleon at 2007年06月25日 12:32
myrmecoleonさん、情報をありがとうございます。

これでもかって感じの並べ方が、なんかレトロに見えるのは私だけでしょうか(笑)。

Youtube、チャレンジしてみます。
Posted by egami at 2007年06月26日 05:40
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