2007年05月10日

自らの意見や能力をパブリックに示すことができなければ管理職にも専門職にも就けないと言っても過言ではないのだ

 HCLの新しいAssociate Librarianのcandidate、Carrie Kruseさんの公開プレゼンを拝見してきましたよ。

 どういうことかと言うと。
 HCL(=Harvard College Library)には、一番トップのライブラリアンの人の下に、4人くらいのAssociate Librarian(それぞれ担当がある)がいらっしゃって、そのうちのresearch & instructionを担当するAssociate Librarianポストがしばらく空いてたんですね。で、そのポストに見合う人材を採用しよう、ということで、まず公募が行なわれる。その公募に何人かが応募する(当然ながら学内外問わず)。なんやかんやで候補者が3人にしぼられる。で、そのしぼられた3人が、HCL内のスタッフ誰でも自由に参加可能な公開プレゼンを行なって、自分の意見だ見解だ戦略だ問題意識だをパブリックに述べる、という企画です。
 つったって、候補者が述べるだけ、聴衆が聴くだけ、というわけではもちろんない。候補者のプレゼン内容、履歴(履歴書や応募時のレターも示されている)、プレゼン後の質疑応答、そういったものをじっと見聞きしたHCLの現職スタッフの人たちが、この候補者のプレゼンに対する評価コメントをしたためて、それぞれ紙なりメールなりでHuman Resource部署(註:先日”研修専門”みたいな部署のように書きましたが、こういうこともやるのです)に送る。送られ、集積された聴衆の評価は、たぶん、おそらく、perhaps、しかるべき人たちがしかるべく閲読して、採用不採用の判断材料とする、という。これこそ、互いに互いの人材・能力を評価しあう(しかも感情的にならずに)というスキルがあり、土壌ができあがっている社会だから、成り立ちうるシステムですなあ。

 今回江上が拝聴したのは、Carrie Kruseさんという、Wisconsin大学の図書館のDirectorの女性の人でしたよ。"Meeting Challenges of Academic Libraries : Innovation and Balance"というタイトルでプレゼンなさいました。感想1、プレゼンが上手。PowerPointの作り方が上手、"Now"と"Then"を対称に並べて、かつ、差分となる語句だけをイタリックで示すというような細かい配慮とか。各課題を、Challenges→Questions→Strategiesと段階的に述べる。というような感じ。まあ日本から来た身にとっては、どのアメリカ人さんもプレゼン上手に見えてしまうのだけど、それでも上手だな、という感じでしたよ。感想2、人柄がよさそうに見える。日本の管理職にありがちな”根拠の無いエラそうさ加減”がなくて、物腰も低く柔らかい。そういえば、服装も、ぱりっとしたスーツとかではなくていたってラフな、31℃のこの日にぴったりの沖縄のかりゆしのような感じで、もしこれがわざわざ考えてそうしたんだとしたら、なかなかのプレゼン策士ですよこれは(笑)。感想3、言ってる内容にネガティブなワードがほとんどない。つっても江上の貧弱英語力でどこまでちゃんと理解してるかはあれですが、現在ある問題点・課題点のようなものを、解決すべき対象としてはとらえるのだけど、ネガティブなマイナス要因として描くのではない。だから、なんとかなりそうな気がする(笑)。でもって、それをスタッフ同士のコミュニケーション改善によって解決しましょう、みたいなことを言ってるところも、なんか、いいなあと思うたよ。

 その他の諸々。
・公募が発表された時点で、応募が来るのを待つだけではなくて、invite(応募しませんかという招き)や他薦(誰かいい人いたら紹介してください的な)もある。
・3人の人がやんなきゃいけないのは、この公開プレゼンだけじゃない。学内のすべての部局のレファレンス担当ライブラリアンの人と懇談会を持つ他、ランチ、ディナーといった会食に至るまで、2日間スケジュールがびっしりつまってるらしい。しかも3人いっしょに2日、じゃなくて、1人が2日、また別の日程で1人が2日、という念の入りようですよ、おそれいりましたm(_ _)m。
・この人を選ぶのにSearchコミッティーというグループが設けられるらしい。人材をSearchする、というの。そういう組織作りは、ファカルティの人を選ぶときも同じ。
・示された履歴書を拝見したのですが、履歴書もいろいろ工夫されていて、自分の役目や職務内容を説明するだけではなくて、自分のいた図書館がどういう図書館かもきちんと解説している感じ。

 ま、そんな手順で採用されるおえらいさんとだったら、考えが自分と多少ちがってたとしても、それなりに安心して仕事してられるよな、と思ってたら。この公開プレゼンシステムは、おえらいさんばっかりじゃなくてすべての専門職(サブジェクトなライブラリアンとか)の場合でも、規模の大小はあれ、行なわれるらしいのですよ。

 自らの意見や能力をパブリックに示すことができなければ管理職にも専門職にも就けないと言っても過言ではないのだ!を、お送りしました。

posted by egamihvu at 21:24| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
帰国司書の江上さんのプレゼンを期待してます(我ながらショウムナイ駄洒落ですみません)。
Posted by d at 2007年05月11日 01:28
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