「ハーバード大学の図書館」は、学内全体で、大小合わせて90ほどあります。
その「ハーバード大学の図書館」のうちの、大きめな図書館9つといくつかの小さな組織が集まって、「Harvard College Libraries(HCL)」というグループを形成しています。江上のいるイェンチン図書館とか、知ってる人には有名なワイドナー図書館(附属図書館的な感じ)やラモント図書館(学部生用図書館)とかもここに入ってます。
で、HCLとはまた別に「Harvard University Library(HUL)」というグループがあります。念のために言っときますが、さっき出た「ハーバード大学の図書館」とはちがいます、その中の一部です。「Harvard University Library(HUL)」グループには、システム管理の部署があり、ハーバード・デポジトリーがあり、プリザベーションの部署があり、大学文書館がある、といった感じです。カンのいい人はお気づきかもしれませんが、いわゆるふつーの図書館はひとつもありません。「Harvard University Library(HUL)」にlibraryはないのです。
で、「ハーバード大学の図書館」のうちの、HCLでもHULでもない人たちは、ただ単にハーバード大学の図書館である、という人たちになります。だからといって、決してマイナーだとかはみ子とかではない、ここのカテゴリーにはロースクールのライブラリーがあり、メディカルのライブラリーがあり、ライシャワー研究所や教育学部やデザインスクールのライブラリーがあり、そしてかの名高きハーバードビジネススクールのライブラリーがある、という。
まあ京都大学なんか可愛く見えてしまうくらいの、複雑かつ独立自治風の強そうな図書館組織体制ですよ。
で、江上はHCL内のイェンチン図書館に新しく来た人である、ということで、HCL新参職員向けのオリエンテーション(4/30)に行ってきましたよ、という話です。
このHCLのオリエンテーションは、人材管理(Human Resource)部署の主催でしたよ。HCLには人材管理専門の部署があって、オリエンテーションとか研修とかをやってるらしいのですが、その新人さん向けオリエンテーション、月1ペースでやってらっしゃるのですよ。さすが、ハーバード大学ともなれば、年間通してどこかしら誰かしらが新しくやっていらっしゃる、しかも転がる石に苔は生えないという転職天国・アメリカですから、月1ペースでやったっておかしくはない。尋ねてみると、9月や1月が参加者の多いピークのシーズンだそうで、4月のようなオフシーズンだと江上入れて3人という参加者でしたよ。でも、その3人に対してでもちゃんと月1ペースでオリエンテーションを開いてくれるあたり、手厚くしてくださってるなあ、という印象を受けるのですよ。ていうか、図書館組織内に人材・研修でひとつ専門の部署がある、ていう時点で、”人”が大事にされてるんだなあと、”人間扱い”してくれてるんだなあと、それに比べてどこぞの国はどうなんだと、思うのでしたよ。でも、ほかの参加者の人は「いまの職場に来て6ヶ月」です、とか言ってて、あれ、どうしたことだこのスローテンポは、とか思った(笑)。
HCLグループと各図書館を紹介する、対外用の紹介資料をもらったんですけど、その資料がまたクールったらないというか、プロのデザイナーやカメラマンに本気で作らせてるなと一目でわかる、ミニ写真集のようなビジュアル資料でしたよ。これを見せられると、日本の大学図書館の概要なりなんなりが、どんだけがんばってみてもいまだ”行政資料”の域を出てなかったんだなあ、と思い知らされるのですよ。がんばんないと。
あと、HCLのロゴ入りマグカップと、IDカードを首から提げるロゴ入り紐と、ロゴ入り鉛筆と、その場でつまむお菓子たくさん、をもらったよ。だからさ、そうやって何かとお菓子を供したりつまんだりっていうの、どうなんだアメリカは。ジョギングとかオーガニックとかヘルスケア器具とか以前に、やることあるだろう。
以下は、そのオリエンテーションの中身で、印象に残った件。今回知りえたのはほんとに概略だけなので、それぞれの詳細(特に興味のある話たくさんだったので)は、追々調査したいと思うのですよ。
・コミュニケーション専門の部署がある。これはHCL職員用Webページの管理とかMLとかでもって、HCL職員同士の情報共有を深める、という、これもそういう専門の部署があるという点できわめて感服仕ったところ。この職員用ページもまあ半端なく充実していて、見せれるもんならみなさんにも是非見せてあげたい、よそからアクセスできないのがほんとに残念。
・プリザベーション専門の部署がある。覚えてますか、「HUL」にプリザベーション専門の部署がある、ていう話。「HUL」にもあって、さらに「HCL」にも別途ある、ていう。なんだろうこれは、手厚いのか、それとも不便不都合なのか、わかんないよ。
・IT専門の部署がある。これも覚えてますか、「HUL」にもありましたね。図書館用ネットワークシステムが、ハーバード全体のと、HCL内のと、2つあるのですよ。あと、各図書館には「ITリエゾン」という人たちがいて、ITまわりのことで用事があったら、このリエゾンの人たちを通していろいろお願いすることになる、という仕組み。
・で、本オリエンテーションを主催してなさる、ヒューマンリソース専門の部署がある、と。江上は”visiting librarian”という位置づけなので対象外だったのですが、本来新しく来た人は3ヶ月の研修プログラムを受けるんだそうですよ、めっちゃ本腰じゃないですか、人材育成ということについて。で、働きを様子見した上で、あらためて上司の人と面談を持って、仕事内容の向き不向きとかを云々するんだそうですよ。どこぞの国の、空いたポストに動かせる人と動かす、なんつってるお寒い人事異動システムとは桁違い段違いお門違いも甚だしいですよ(←但し、このシステムの利点も一応あるということに気づきもしたのですが、それはまた別の話)。あと、MLS取得プログラムもあって、7-8人が受けてるらしいですよ。
・で、HCL全体で、フルタイム+パートタイムが570人以上、学生バイトや時間雇用で590人以上、ということらしいですよ。
興味ある話をたくさん聞けて、それら情報の詳細がすべてHCL職員用Webページに掲載されているということで、もうそこへアクセスしたくてしたくてたまらんのですが、残念ながらその1。江上は、席はイェンチン図書館にあるのですが、実は籍はライシャワー研究所に置かれているので、正確に言うとHCLのメンバーではない、ということでHCL職員用ページにアクセスする権限がいまのところ無い。その2、で、アクセスする権限を特例でもらえるように交渉する必要があるのだけど、それはじゃあ、イェンチンのそういうことをするリエゾンの人を通してということで、てなる。
・・・・・・どうもこちらのお国柄というのは、話が早いんだか遅いんだか、便利なんだか不便なんだか、よくわかんないよ。ていうかさ、そこで「リエゾンを通して」ってなるんだったら、ついさっき”Nice to meet you!!”つってにこやかに握手を交わしたのは、いったい何のためのセレモニーだったんだ、て感じじゃないすか? それとも、プライベートな人的交流とビジネスとはまったく別、という、これがまさにアメリカ流なのですか?
よく西洋と比べて、日本式の仕事のやり方は不透明なことが多い、的なステレオタイプな批判なり揶揄なりがあげられるけども、正直、どっちもどっちじゃないか、と気の短い江上は思うよ。



亜米利加がすべていいとは思わないが、ヒト・モノの扱いに関して、某国某大のあり方は、組織としてもう少ししすてぃまてぃっくであるべきだと思われる。