2008年09月10日

HVU大反省大会--ハーバードの図書館で、日本の古典籍の整理をする。あと、愛も叫ぶ。

 これは、「出版事業」としての補遺目録プロジェクトとは別の営みになるんだけど、まあ今回の補遺目録の対象となっている資料の多くが、まだHOLLISに未収録であるわけなんで、これがHOLLISに収録されてくれないことには、補遺目録をいくら整備しようが、利用者に提供なんかできないし、アクセスもできなくなっちゃうよね、という問題があって、じゃあ、そのHOLLIS&OCLCに目録登録するっていうカタロギングの仕事を、江上が手伝う、ていう感じで当初やってたんだけど、残念ながらこれが途中で終わってしまったという事情があって、だいぶいまでも心残りになっているよ。

 ハーバードさんにおけるカタロギングというのは、まず、OCLCの総合目録データベースに書誌と簡易所蔵を登録して、しかるのちにハーバードの目録データベースにその書誌をダウンロードして、詳細な所蔵を登録する、という流れですよ。
 OCLCに登録する際に使われるのがOCLC Connexionと呼ばれる専用ソフトウェアで、CJK文字もここで使える(諸事情により若干の制約あり)。で、ハーバードさんの目録データベースに登録するにあたっては、図書館業務用システムであるAlephを使う。で、江上はその作業を、HYL内において江上にあてがわれた図書館業務用システム端末(ConnexionもAlephも入っとぉる)を使って、行なう、といった具合。

 OCLCやハーバードでの、ていうかたぶん北米での、日本語資料の書誌レコードというのは、ひとフィールドに日本語で記述したあと、それと同じMARC番号を持つフィールドをもうひとつ作って、同じ記述を英語(ローマ字)で併記する、そして、しかるのちに両者をリンク付けする、ていう仕組み。

 あと、日本古典籍のカタロギングとはいえ、適用する目録規則はAACR2なので、まずここで1回、世界観がぐにゃりと曲がる。で、CEALで作成されたガイドライン(Descriptive Cataloging Guidelines for Pre-Meiji Japanese Books)も見る必要があって、これが、NACSIS-CATの和古書コーディングマニュアルとちょっと似ててたまにちがう、ていう感じなので、ここでトラップにかかりまくる。さらに、まったく使い慣れていないMARCフォーマットとそのルール、それをベースにしたOCLCさん独自の運用ルール、もちろんハーバードさんのローカルルールもあるわけなんで、総勢でぼっこぼこにされる。

 で、古典籍でしょ。

 1日3つできりゃマシなほうでしたよ。(涙)

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HVU大反省大会--ハーバードの図書館で、日本の古典籍の整理をする


 ここからは、実際にどんなことをやってたのかということを、ひとつひとつ検証していく感じになりますよ。

 一番大きかった”実務研修”のひとつが、古典籍補遺目録出版プロジェクトでしたよ。これについて、徹頭徹尾関わったという感じでしたよ。  

 イェンチンさんには約14000冊(冊ですね、冊。1タイトル数十冊組とかでいうところの、冊)の日本古典籍があって、まあ大方はHOLLIS(ハーバードのOPAC)にも入ってるし、1994年に出版された冊子体目録たる『ハーバード燕京図書館和書目録』(通称・岡目録、ここには約3300タイトル)にも入ってるし、現物資料は貴重書室の中に入ってるしなんだけど。
 この、94年の岡目録に入ってなくて、未整理、ていう日本古典籍が1000冊くらいあって、それは、94年当時の収録になんでか漏れてたものであり、整理されてなかったものであり、あるいはその後に受入され移管されてきたものであり、という感じなんで、その冊子体目録を”補遺目録”として作らなあかんよね、ていうプロジェクトが、調査等を含めまあゆるゆると進行してたんだけど、このほど、いよいよその出版について具体化してきだした、という時期になってちょうど、江上さんがご登場・ご滞米、という運びになったので、じゃあそれについては江上に実務を担当してもらいましょう、という流れですね。

 といっても、このプロジェクトではいわゆる”図書館的に”カタロギングを行なうというのではなくて、”国文学的に”書誌調査を行なう、というパターンのやつで、実際の書誌調査と書誌の執筆は、国文研の先生がやります。ていうか、先生はもうこのプロジェクトのために2004年から何回かイェンチンにいらしてて、地道に書誌調査と論文執筆(補遺の資料に限らず、イェンチンさんの日本古典籍蔵書全体を概観する感じの)をやってらしたので、その成果をそろそろかたちに、という感じなのですけど。あと、出版は、江上が渡米するかしないかぐらいの時期にちょうど、日本の書店との出版契約が結ばれたのでしたよ。

 という、日本側キャストである、先生方なり出版社さんなりに対して、現地であるイェンチン図書館からサポートする、というのが江上の役目やったというふうに思うておいてください。イェンチンさんにはカタロガーなりサブジェクトライブラリアンなりを含め、日本人スタッフはたくさんいるんだけど、日本古典籍の取扱いを専門としているとか、通じているとか、そういう人がいなくて、なかなかこのプロジェクトの進行自体が難物だったみたいだったよ。だからまあ、そのお手伝いができて、よかったと思うよね。だいぶこれに時間を費やした感じになったけどね。しかも、いる間に終わんなかったし。いる間に出版されないとは思わんかったけど。

 具体的にやったこと。
 整理する。まず片付いてないから。対象資料が書庫の一角にごちゃっと山積みにされてたから。これを、調査済み/未調査とか、岡目録にある/ないとか、一個一個仕訳して、連番して、リストを作成して、ていう。
 過去の調査を確認する。先生とは別の人とかグループとかが、過去数回、ばらばらにいろいろと調査しておられるので、その調査結果を一通りチェックして、これは今回のと同じだから使える/使わない、とか、そういうののデータ整理みたいなこと。
 先生や編集の人のサポート。江上がこっちにいる期間にも、日本から先生が書誌調査に来はって、最後の追い込み的なことをやってはったんで、その調査をスムーズに進めてもらうように、いろいろ準備申し上げる感じ。あと、日本からの問い合わせに応じてリモートで江上が調査する感じ。あと、この出版物にはたくさんの、実にたくさんの量の論文類が寄稿されるので、その校正とか、事項調査とか、補足とか、その原稿のやりとりとか。編集の人とのやりとりも然り。
 ローマ字化。書誌本文や索引の書名・人名にローマ字を付与する。ただの変換作業じゃん、とか言うたらあかん。日本語をローマ字化するっていうのは、たんにアルファベットに直すだけでなくて、「分かち書きのスペース」と「大文字・小文字の別」という2つのハードルを越えねばならんのですよ。儒教書だの仏典だののタイトルなんか、どこで分けたもんやら、どれが固有名詞なんやら、て、泣きたくなったよ。
 イェンチン分類の付与。イェンチンさんは現在のカレントな図書についてはLC分類を採用してるんだけど、古典籍だけはいまもなお、当館の独自分類であり、かつそれが世界各地に広まってちょっと前までは欧米各国の東アジア系図書館の標準であったと言われる、イェンチン分類を採用しておられるのですよ。で、今回未整理だった古典籍には当然それがまだ付いてないので、付けないといけない。大方の分についてはイェンチンの方がやってくれはったんだけど、大方でない部分については、江上くんがやったよ。たいへんだった。分厚い冊子をめくって分類を探し当て、かつ、著者名を四角ゴウマに変換するという、四角ゴウマ、もう漢字を探して当てる気力もない。
 写真撮影。各先生の論文には、総計で約130点ほどの写真が図版として載せられるという。古典籍の1コマを写真に撮って、掲載するという。その、写真撮影っていうのを、ハーバードの図書館内部署であるImaging Serviceというところ、ここは図書館資料の撮影やデジタル変換的なことを専門的に行なってくれる部署なんだけど、そこのチーフのライブラリアンの人なり、カメラマンの人なりに、相談して、交渉して、こうこうこういう要領で、この資料のこことここを撮影してください、ていうのをお願いする、ていう。130点。1個1個梱包して、撮影スタジオに搬入して、ていう。3ヶ月かかったよね。これがかなりしんどかった。けど、Imaging Serviceの人と仲良くなれて楽しかった、ってのは、かなりあるよ。

 当初の予定を大幅に遅れつつも、めでたく、2008年6月に出版されましたよ。タイトルは、『ハーバード燕京図書館の日本古典籍』。謝辞に自分の名前の載ってるのを見るのは、やっぱりちょっと、うれしかったよね。
posted by egamihvu at 05:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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