2008年08月11日

ハーバードの報告類をまとめてみるよ。

 (1)
 6月下旬に、日本図書館研究会というところの、第254回研究例会として、2時間ほどの口頭発表を行ないましたよ。
 ↓http://wwwsoc.nii.ac.jp/nal/events/reikai/2008/254invit.html
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第254回研究例会
ハーバード日記 : 司書が見たアメリカ
日時: 2008年6月20日(金)19:00〜21:00
会場: 大阪市立弁天町市民学習センター 第3研修室
発表者 : 江上 敏哲(国際日本文化研究センター)
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 レビューができとるな。
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/nal/events/reikai/2008/254report.html
 
 ペース配分を誤った、というか、参加者数がそれほど多くなかったので、これは質疑応答時間少なめにしないと持たないかも、という目算から、だいぶ意図的に肉付けしながらしゃべった感じだったんだけど、それでも誤った、という感じだった。
 でも、やっぱちゃんと説明しようと思ったら、前置きの説明ってどうしても長くせざるを得んのですよね、特にハーバードさんみたいなでっかい規模のところだとね。2時間ドラマとかで、人物やシチュエーションの紹介に1時間弱かかってしまう感じのやつ。

 (2)
 某京大の勉強会での第2回目公演。
 ↓http://kulibrarians.hp.infoseek.co.jp/101th/101th.htm
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第101回勉強会
内容: ハーバード日記 : 司書が見たアメリカ
発表者: 江上敏哲(国際日本文化研究センター)
日時:6月27日(金)18:30 - 20:00
場所:京都大学附属図書館3階研究開発室
終了後、懇親会あり
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 参加者17名。こっちのが多かった。
 レビューもできとるので、
 http://kulibrarians.hp.infoseek.co.jp/101th/101th.htm
 上記のと読み比べてみてください。

 (3)
 岡本さんのARGのイベント「ARGカフェ」で、5分トークをしてきましたよ。
 「ネットとリアルの境界線」というテーマで。
 要は、どこぞの図書館に見学に行くのに、webで充分予習しているともう90%は判った気になるんだけど、実際に訪問すると、現地に立ってみて初めて気付くこと(音とか光とか空間とか見え方とかからくる違い)もあるし、実際そこの人と話をしてみて初めて気付くこと(情報に肉付けがされ、評価がされ、各情報の持つそもそものノリの違いが、トークの端々にあらわれる)もあるし、ていう感じの話をしましたよ。
 これは、余裕があればいずれ再録したいよ。

 (4)
 それから、大学図書館問題研究会の月刊誌である「大学の図書館」に、原稿を依頼されて書きました。
 UMass Amherstのラーニング・コモンズについて。
 タイトルは「UMass Amherstのラーニング・コモンズ--94%の学生が週1で訪れる場所--」。
 「大学の図書館」は、封筒を開けて取り出したときに、1ページ目の上半身に目次がでんっと出るので、そこで目にとめてもらえやすいように、ちょっと長かったけどがんばって、キャッチーな数字を副題にねじこんでみたよ。
 ・・・・・・長すぎるっつってカットされたら、終わり\(^o^)/。

 そもそも江上は、ラーニング・コモンズについて一家言持つような者でもなんでもなかったんだけど、どうもあの「日記」(http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/modules/wordpress/index.php?p=44)はいろいろと目にとめてもらえてたみたいで、ありがたいことに、依頼をもらったよ。ていうかぶっちゃけ、UMassに行く1週間くらい前まで「ラーニング・コモンズ」ちゅう名前すらほとんど知らなかったんですけど。ただ、やっぱりモノが”場所”であるだけあって、現地を見た経験があるか/ないかでは、たぶんぜんぜん筆のノリが違っちゃうんだろうなあ、とは思うよ。

 (5)
 「漢字文献情報処理研究」というところから依頼されて、いま、蔵書デジタル化事業についての原稿を書いているところですよ。これも、「日記」(http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/modules/wordpress/index.php?p=66)で目をとめていただいた次第。
 あのトピックは、もっと書きたいことあったけど書けなかった、みたいになってたので、よかったよ。

 (6)
 載せてもらえるかどうかはわかんないですけど、研修総括的なのを原稿も、どこぞに投稿するべく、がんばって並行して書いてるところですよ。
 これは特定のトピックでとか、調査・見学してきた内容を、とかいうんではなくてむしろ、この研修自体がどんなふうに組まれて、どんなふうに実践してきて、どういうことをやってきたのか、ていう、どっちかていうとhow to的なことを書いている感じですよ。だから、書いてるとだいぶふわふわしそうになっちゃいそうなんだけど、そこをできるだけふわふわしないように、後代に残せるよう、事実を固着させて形にする感じで、ていう。
 ていうか、そういうのって、探しても書いてる人あんまいないし、そういうのを書けるのは当の本人だけだと思うので。どこぞで採用してもらえればいいけど。

 (7)
 10月には、日本図書館研究会の情報組織化研究グループ(旧・整研)で発表の予定ですよ。
 http://www.tezuka-gu.ac.jp/public/seiken/meeting/news.html#200810
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 日時: 2008年10月18日(土)14:30〜17:00
 会場: 大阪市立浪速人権文化センター 5階集会室1
 大阪環状線芦原橋駅下車
 テーマ : ハーバード日記・目録編 : 米国大学図書館での経験から
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 そんな感じです。

 なので、このblogもまだイキでやってます。たぶん。
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2008年08月26日

ラーニング・コモンズでダイエット大作戦!・実践編

 「UMass Amherstのラーニング・コモンズ --94%の学生が週1で訪れる場所--」というタイトルなんですが。

 減量前と減量後のギャップをそこはかとなくお楽しみください。

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(減量前)
 筆者は、2007年3月から1年間ハーバード大学に図書館実地研修のため滞在し、その間に米国内各地の大学図書館を見学・訪問してきた。その経験に基づき、University of Massatuesets Amherst校(以下UMass Amherst)図書館(*註)のLC(*註)の実際について、見聞してきたことを報告したい。
 LCについては、すでにいくつかの事例報告(*註)があり、最近では日本での実践例(*註)も紹介されるようになってきた。UMassは米国のLC事例報告の”鉄板”でもあり、筆者自身も本研修の報告webページ「ハーバード日記」(*註)で既にレポートしている。本稿ではさらに踏み込んで、周囲の環境や背景など、現地を実際に訪れて知ることのできたことをまじえて報告したい。なお、このLCについては研修を随時報告してきたwebページ「ハーバード日記」(*3)にも投稿しており、併せてお読みいただければ幸いである。

(減量後)
 筆者は2007年3月から1年間ハーバード大学に図書館業務実地研修のため滞在し、その間に米国各地の大学図書館を見学・訪問してきた。その経験に基づき、University of Massachusetts Amherst校(以下UMass Amherst)図書館(*1)のラーニング・コモンズ(以下LC)(*2)について、現地を実際に訪れて知ることのできたことをまじえて報告したい。なお、このLCについては研修を随時報告してきたwebページ「ハーバード日記」(*3)にも投稿しており、併せてお読みいただければ幸いである。

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(減量前)
 UMass Amherstがある町・Amherstは、ボストンから西へ約100キロ、Smith College、Amherst Collegeなど5つの大学が集まる大学町である。中でも最大規模であるUMass Amherstはマサチューセッツ州の州立大学であり、学部学生約2万人、院生約2000人、教員約1000人。広大なキャンパスのほぼ中心に地上28階建てのW.E.B. Du Bois Libraryがあり、その地下1階にLCがある。
 UMassのLCは、従来型の図書館とテクノロジー、キャンパス・サービスを融合すること、学生の日常的な活動・共同学習・コミュニケーションを環境としてサポートすること(2006年 Annual Report)などを実現させたものである。言わば、”そこだけで学生の学習活動のほとんどをまっとうできる場所”であり、その成功ぶりは、冒頭の「学生の94%が、週に1度は訪れる」という数字にもあらわれている。
 このDu Bois Libraryでは24時間開館(金土深夜を除く)を実施しており、LCもその開館中であれば好きなだけ滞在することができる。実際に観察してみると、平日午後7時頃でほぼ満席、朝8時頃でもそこそこ人がいるという状態だった。地下1階--といっても実際には地上階であり、窓からの採光で充分に明るい--全体を占めるエリア内に、テーブル・一人席・グループ学習室・ソファなど、総計4-500人分ほどの席が用意されており、学習席のほとんどには計200台をこえるPCが備え付けられている。無線LANも設けられているので、持参したラップトップPCや貸出用ラップトップPCを好きな場所で使うことができる。

(減量後)
 Amherstは、ボストンから西へ約100キロ、Smith College等5つの大学が集まる大学町である。中でも最大のUMass Amherstは、マサチューセッツ州の州立大学であり、学部生約2万人、院生約2000人、教員約1000人。広大なキャンパスのほぼ中心に28階建てのW.E.B. Du Bois Libraryがあり、その地下1階にLCがある。
 UMassのLCは、従来型の図書館とテクノロジー、キャンパス・サービスを融合すること、学生の日常的な学習活動・共同学習・コミュニケーションを環境としてサポートすること等を実現させたものである。学習活動のすべてをまかなう場所として、その成功ぶりは、「学生の94%が週に1度は訪れる」(*4)という数字にもあらわれている。
 Du Bois Libraryは24時間開館(金土深夜を除く)を実施しており、LCもその開館中であれば好きなだけ滞在できる。実際、平日午後7時頃でほぼ満席、朝8時頃でもそれなりに人がいるという状態だった。地下1階--実際は地上階で、窓からの採光で充分に明るい--全体を占めるエリア内に、テーブル・グループ学習室・ソファ等、4-500人分ほどの席が用意されている。PC約200台のほか、無線LAN・貸出用ラップトップもある。

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(減量前)
 20近くあるグループ学習室は声が漏れないようにガラスで囲われ、壁付のホワイドボードも用意されており、ディスカッションには最適の場所である。とはいえ、そもそもこのLC自体”静かにすること”は求められておらず、むしろグループ学習・共同作業ができることを前提とした場所であり、学生同士のトーク・ディスカッションは当たり前のように行なわれている。それを「騒がしい」と感じる学生もいなくはないようだが、実際観察していると、無駄におしゃべりして遊んでいるという様子はほとんどなかった。また、ソファやいすにキャスターがついていて、学生が自分たちの使いやすいように席を移動させて、即席のミーティング場所をアレンジできる、というような配慮もなされている。これは学生から提案されたアイデアとのことだった。そして忘れてならないのは、こういった施設・環境作りの背景には「グループ・ディスカッションで課題に取り組む」という学習スタイルの定着がある、ということである。それを無視して施設だけを云々しては、ただの学生の溜まり場と変わりがなくなってしまう。学習支援とアメニティとは基本的に別物である。
 エリア内には他にも、コピー機・プリンタ・FAX・デジタルスキャナなどがあり、原資料やノートのコピーに始まり、論文・レポートのプリントアウトに終わる、という一連の学習活動をカバーしている。自動販売機では、飲み物・食べ物・スナックのほか、ポストイット・CD-R・レポートカバーといった文具・サプライ類、さらには耳栓や眠気覚ましの薬といったものまで買うことができる。図書館1階には深夜1時まで営業しているカフェもあり、LCへ持ち込んでの飲食も自由。ピザなどのデリバリーは入口で受け取ること、というルールまで提示されていた。ケータイでのおしゃべりはエレベーターホールのほか、cell phone boothというケータイ専用のボックスで、と決められている。これらは、学生の長時間滞在を前提としたサポート、ルールであると言えよう。
 なお、PCやそのOS、ソファ他什器類のほとんどは、寄付金を募ることによってまかなわれたとのことである。

(減量後)
 20近くあるグループ学習室は声が漏れないようにガラスで囲われ、ディスカッションに最適である。とはいえLC自体”静かにすること”は求められておらず、学生同士のグループ学習・共同作業が当たり前のように行なわれている。実際観察していると、無駄におしゃべりしたり遊んだりという様子はほとんどなかった。忘れてならないのは、「グループでディスカッションしつつ課題に取り組む」という学習スタイルが定着している、ということである。例えば、ソファやイスにキャスターがついていて、学生が自分たちの使いやすいように席を移動させ、即席のミーティング場所をアレンジできる、というような配慮もされている。
 LC内にはコピー機・プリンタ・スキャナ等があり、資料の複写に始まり、PCで執筆・編集し、印刷で仕上げる、という一連の学習活動をカバーしている。自動販売機では飲み物・軽食類のほか、ポストイット・CD-Rといった文具類、眠気覚ましの薬まで買うことができる。館内には深夜1時まで営業のカフェもあり、LCへ持ち込んでの飲食も自由。ピザ等のデリバリーは入口で受け取ること、というルールもある。学生の長時間滞在が前提であることがわかる。

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(減量前)
 このLCでさらに注目すべきは、ライブラリアンや学生スタッフらによる人的な学習支援サービスであろう。ここにはいくつかのサービスデスクやセンターがあり、学部学生の学習をそれぞれの方法でサポートしている。
 例えば「Writing Center」が行なうWriting Supportは、学生のレポート・作文・論文などの執筆についてサポートしてくれるサービスである。Writing Support自体は、LCが設置される以前から、図書館外の学内部署によって行なわれていた教育プログラム(University Writing Program)の一環である。授業でのレポート課題等を抱えた学生をサポートするもので、文章の構成方法や読みやすさ・文体・文法などについて、院生・学部生スタッフが相談にのったり個人レッスンをしたりする。この学生スタッフたちはそれぞれ自分の専攻分野を持つほか、少なくとも1年間の「Tutoring Writing」クラスで充分にトレーニングされており、チューターとしてのスキルを備えている。もともとは学内の学生会館に居を構えていた部署であったが、LCの設置を機に、図書館内でサービスを行なうことになったものである。なお、LC内ではないが、図書館10階には「Learning Resource Center」があり、学部1-2年生レベルの学習指導・相談や補習等を行なっている。
 他にも、「Career Services」という学内の就職担当部署が設けた出張デスクでは、就職情報の提供、個別相談、模擬面接やレジュメ作成の指導などが行なわれる。また、「Academic Advising」は学内の学生サービス部署が設けた出張デスクであり、「Career Service」同様、LCの設置を機に学生会館から館内に移転してきたものである。
 図書館がサービスを提供しているデスクは、「Learning Commons and Technical Support Desk」と「Reference & Research Assistance」の2つ。前者では3交代制のライブラリアンと学生スタッフが24時間駐在しており、全般的な案内・サービスのほか、PCまわりのテクニカルなサポートを行なっている。後者は、図書館のレファレンス・サービスがLC内にデスクを設置したものであるが、フロアのほぼ中央、PCが集中的に配置されているエリアに隣接している。実際に学習活動を行なっている学生たちのすぐ隣であるというだけでなく、カウンターが円形でどの方向へも向けること、さらにはその位置が高くライブラリアンの目線と通り過ぎる学生の目線がほぼ同じであることが功を奏してか、気軽に声をかけやすい存在になっているようである。実際、筆者が現地を見学したときも、何人かの学生がさまざまな質問や相談を気軽に投げかけていた。また、このデスクの背後には半透明のパーティションで区切られた小部屋があり、長時間のレファレンス相談にも対応している。
 そして、上記のような人的サービスが設けられているのも、そもそも学生の学習のあり方が「自ら調査・考察のうえレポートを執筆する」ことが中心であるため、ということに留意しておかなければならない。LCは単なる席貸しの延長ではない。

(減量後)
 このLCと”席貸し”との最大の違いは、ライブラリアンや学生スタッフによる人的な学習支援であろう。
 例えば「Writing Center」が行なうWriting Supportは、学生のレポート・ライティング課題等についてサポートしてくれるサービスである。これは大学による教育プログラム(University Writing Program)の一環だったものが、LC設置を機に図書館内でサービスを行なうようになったものである。1年間のTutoring Writingクラスで充分にトレーニングされた院生・学部生スタッフが、ライティングの実際について相談にのったり個人レッスンをしたりする。
 図書館がサービスを提供しているデスクは、「LC and Technical Support Desk」と「Reference & Research Assistance」の2つ。前者では3交代制のライブラリアンと学生スタッフが24時間駐在し、全般的案内やPCまわりのテクニカルなサポートを行なっている。後者は、図書館のレファレンスデスクがPCエリアに隣接して設置されたもの。その配置が功を奏してか、現地見学中も何人かの学生がさまざまな質問や相談を気軽に投げかけていた。背後には仮設の小部屋もあり、長時間のレファレンスに対応している。
 そもそも学生の学習のあり方が「自ら調査・考察のうえレポートを執筆する」ことが中心であるからこそ、これらの学習支援が歓迎されるのであろう。

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(減量前)
 この図書館を利用している学生に、実際に感想を聞く機会を得た。
「寮の部屋や自宅より集中できる」「プリンタなど、自分の持っていない機器を利用できる」といったプラスのコメントをいくつか聞いた。実際の利用を見てみても、Microsoft Officeでのレポート・プレゼン資料の作成、数人で寄り集まってのディスカッション、資料のスキャンやプリントアウトなど、従来の図書館閲覧室から一歩踏み込んだ活用がされているようである。
 ただ、「人が多くて落ち着かない」という声もあった。これについては、館内に「Quiet Study Area」を2箇所設けることで対応しているようである。LCが成功した施設であるとはいえ、それひとつ用意していれば事足りるわけでは決してない。学生の多様なニーズに合わせた柔軟な姿勢が不可欠である好例と言えよう。
 また、「LCでグループ学習などをしていても、参考図書などの本が必要になって、結局はその本がある閲覧室へ移動する」という声もあった。LCのフロア内には相応数の参考図書が配架されており、学生たちも実際にはたくさんの本・冊子・プリント類を抱えながらPCに向かっている。席やPCだけでなく、書架に並ぶ図書へも24時間アクセス可能であることが、この図書館の強みと言えるだろう。
ただし、どの階の書架・閲覧スペースへも24時間立ち入り可能とは言え、深夜になれば上階へ行くほど人気が少なくなり、危険だ、という話も聞いた。1階エントランスには警備員が常駐し、館内各所に連絡用の電話があるとはいえ、学生も深夜の上階にはなるべく行かないようにしている、とのことである。

(減量後)
 LCについて学生に感想を聞く機会を得た。「寮の部屋や自宅より集中できる」「プリンタ等、自分の持っていない機器が使える」と好評であったが、「人が多くて落ち着かない」という声もあった。これについては、館内にQuiet Study Areaを2箇所設けることで対応しているようである。LCが成功しているとはいえ、それひとつ用意していれば事足りるわけでは決してない。学生の多様なニーズに合わせた柔軟な姿勢が不可欠である。
 また「LCでグループ学習をしていても、参考図書等の本が必要になって、結局は書架のフロアへ移動する」という声もあった。LC内には相応数の参考図書が配架されており、学生たちもたくさんの冊子・プリント類を抱えてPCに向かっていた。席やPCだけでなく、書架・図書へも24時間アクセス可能であることが、この図書館の強みと言える。ただし、深夜には上階ほど人気が少なくなり、危険だ、という話も聞いている。

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(減量前)
 UMass Amherstにはキャンパス内各所にたくさんの学生寮がある。28階建て図書館の上層階から眺めると、ベッドタウンの団地群のようにも見えた。約20000人の学部生のうち、1年生は入寮が義務、2年生以上もその大半が寮にとどまっているとのことであり、学生の多くが1日中このキャンパス内で生活していることになる。ルームメイトとの相部屋生活ということになれば、室内で落ち着いて勉強することは難しいだろう。キャンパス内には学生たちの生活を支える広大な食堂・フードコートや売店などがあり、実際に利用してもみたが、必ずしも長時間滞在して勉強を続けるのに適した環境というわけではない。LCがなかった頃には、ここの学生たちはいったいどこで勉強していたのか、と訝しく思う。
また、このキャンパスはAmherstの中心街から車で10分ほどの郊外にある。周辺を草地や林に囲まれた申し分ない自然環境ではあるが、コーヒーショップやファーストフード店といったものは徒歩圏内にはない。Amherstの中心街にしても、1キロほどのメインストリートにレストランやカフェが並んではいるが、20000人の学生が気軽に足を運んだり、座り込んで勉強したりという場所はほとんどなさそうであった。さらに車で20-30分ほどのところに別の街があり、さまざまなショップなどが並ぶ若者に人気の土地であると聞いたが、そもそも、学生の多くは自分の車を持っていない。
 要するに、それまで学生にとって長時間集中して学習できる居場所がほとんどなかったところへ、場所、機器、人的サービスのそろったLCが誕生した、ということになる。その成功はあらかじめ約束されていた、と言ってしまってもいいかもしれない。
 これと逆の状態にあるのが、ハーバード大学の学部生用図書館・Lamont Library内の図書館カフェである。2006年に開設したばかりのこのカフェは、人気を博しているとは言え、学部生7000人を受け入れることができるほど充分には広くない。が、似たようなカフェであれば、ちょっと通りを渡ればこの図書館の近所に何軒も並んでいる。そもそもハーバードのキャンパス内にはコモン・スペース――建物のエントランス付近や見通しのいい窓際に、テーブルやソファが並べられている――がいたるところにあり、誰もが自由に居座ったり寄り集まったりしては、食事をとったり勉強したり、時にはグループ学習やインストラクションのようなことも行なわれている。その中にあって、この図書館カフェはあくまで数多くある学生の居場所のうちのひとつ(新しくできた、ちょっと便利な)であり、だからこそ、人気があるにもせよ、人が集まりすぎて混乱状態に陥る、といったことがなくて済んでいる。
 LCも図書館カフェも、ともに居場所としての図書館の機能として、昨今よく話題になるキーワードではある。が、いずれにせよ、図書館それ単体で考えていればよいというものでも、ましてや客引きを第一目的として作られるべきものでもない。キャンパス内、及びその周辺も含めて、学生の居場所がどこにどれだけあり、学生のニーズがどのようにどれだけあるか、全体のバランスの中で考えられるべき問題ではないだろうか。

(減量後)
 このキャンパスはAmherstの中心街から車で10分ほどの郊外にある。学部生の多くが学生寮での相部屋生活(1年生は入寮が義務)で、1日中キャンパス内で生活していることになる。広大な食堂や売店は長時間の勉強を前提とした施設ではなく、コーヒーショップやファーストフード店といったものも徒歩圏内にはない。Amherstの中心街にしても、1キロもない表通りにレストランやカフェが並んではいるが、2万人の学生が気軽に足を運んで勉強できる場所ではない。LCがなかった頃には、ここの学生たちはいったいどこで勉強していたのか、とさえ思う。要するに、それまで学生にとって長時間集中して学習できる居場所がほとんどなかったところへ、場所、機器、人的サービスのそろったLCが誕生した、ということになる。その成功はあらかじめ約束されていたようなものだろう。
 昨今話題となりがちなLCや図書館カフェだが、たんなる図書館生き残り策としてではなく、キャンパス内やその周辺も含めて、学生の居場所がどこにどれだけあるか、学生の生活と行動に見合っているか、全体のバランスの中で議論すべき問題ではないだろうか。
posted by egamihvu at 22:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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